popoのブログ

超短編(ショートショート)

 

時刻は深夜0時を迎えようとしていた。

 

私は一人暮らしのアパートで、

パソコンに向かって作業をしていた。

ふと、部屋の鏡に映る自分の姿が目に入った。

 

私は鏡の前に立つ。

そして私は目を凝らした。

鏡の中の私は、どこか様子がおかしかった。

 

目の下のクマが異様に濃く、

口角は不自然なほど吊り上がっている。

まるで、狂気に満ちた笑みを浮かべているようだった。

 

きゃぁぁぁ!

私は思わず目を背ける。

そして、恐る恐るもう一度鏡を見る。

 

今度は顔色が青白く、目は虚ろだった。

そして、先ほどの不気味な笑みは消えていた。

代わりに、鏡の中の私は、口がパクパクと動き出した。

 

私は背筋がぞっとするような寒気を感じた。

そして、鏡に映る自分に向かって声をかけた。

 

「……誰?誰なの?」

 

しかし、鏡の中の私は何も答えない。

ただ、私の言葉を聞き耳を立てているように、

じっとこちらを見つめているだけだった。

 

私は恐怖で体が震えた。

そして、鏡から目を離そうとした。

しかし、なぜか目が離せない。

鏡の中の私と、私の目は、

互いに引き寄せられているように感じられた。

 

そして、次の瞬間、鏡の中の私は、

再びゆっくりと口を開いた。

 

そして、かすれた声が聞こえてきた。

 

「助けて……」

 

私は思わず声を失った。

鏡の中の私、それは明らかに私とは別人だった。

しかし、その声は、確かに私の声だった。

 

「なんなの?なんなのよ!」

 

私は鏡に映る自分に向かって、必死に話しかけた。

すると鏡の私はまた声を出した。

 

「私だよ。本当の…私。」

 

「ずっと自分から目を背けてきたんだろ?

 本当の自分を受け入れるのが怖いんだろ?」

 

そう言って、鏡の中の私が完全に消えた。

と同時に…部屋の電灯が突然消えた。

 

私は恐怖で声も出なかった。

そして、ただただ助けを求めた。

 

「誰か……助けて……」

 

私はハッと気づく。

 

その声は、はじめに鏡から聞こえた声と同じだった。

 

私は恐怖のあまり意識を失った。

 

「私だよ。本当の…私。」

 

その声にハッと目を覚ます。

 

部屋は静まり返っていた。

私の体は、未だに震えていた。

 

あの鏡に映っていたのは、一体何だったのだろうか。

そして、あの声は、

何を私に伝えようとしていたのだろうか。

 

私は、その答えを、

一生知ることができないかもしれない。

 

「ずっと自分から目を背けてきたんだろ?

 本当の自分を受け入れるのが怖いんだろ?」

 

しかし、誰もが心の奥底に暗い感情を持っているという点は、

真実かもしれない。