popoのブログ

超短編(ショートショート)

初めてのビキニ

夏の日差しが眩しく照りつける海岸。

陽気な音楽と人々の笑い声が響く中、

私は、初めて購入した白いビキニを手に、

鏡の前で立ち尽くしていた。

 

鏡に映る自分の姿は、

今までとは全く異なるように見える。

露出度の高い水着は、身体のラインをより際立たせ、

自信をくれるはずなのに、何故か不安と葛藤が押し寄せてくる。

 

(この日の為に、ジムにも通ったのに。)

 

(こんな恰好で、本当に大丈夫だろうか…?)

 

自意識過剰な考えが頭をよぎり、

一歩踏み出す勇気が出ない。

しかし、ふと海辺から聞こえる

子供たちの笑い声に我に返る。

無邪気に遊ぶ子供たちの姿は、

まるで太陽のように輝いていた。

 

(自信を持って楽しもう!)

 

私は決心する。

鏡に映る自分に微笑みかけ、ビキニを身に着けた。

最初はぎこちない動きだったが、

徐々に体が水着に馴染んでいく。

 

海岸に出ると、潮風を感じ、太陽の光が心地いい。

 

「遅かったね。」

「可愛いじゃん!」

「スタイルよっ!」

 

友達たちの言葉に、私は自然と笑顔が溢れる。

 

「みんなも可愛い。」

 

「この日の為に頑張ったもんね。」

 

「さぁ!海入ろ。」

 

「ねぇ誰かクリーム塗ってよ~」

 

海辺の開放的な雰囲気に包まれ、

私たちには、楽しい時間がやってきた。

 

「さあ。空気入ったよ。」

 

私たちは浮き輪を手に、海へ駆け込んだ。

 

「つめたっ!」

 

「しょっぱい!」

 

キャハハハ

 

私たちは夏の貴重な時間を、

思いっきり楽しんだ。

 

「ねぇ。海の家でなんか食べる?」

「私は飲み物だけで。」

「じゃあ、みんなで買いに行こ。」

 

砂浜を歩いていると、私の隣に人影が。

「ねぇ。どこから来たの?」

「めっちゃ可愛いじゃん!」

「水着似合ってるね。」

 

若い男性たちは、激しい勢いで言葉をかけてきた。

 

友達の一人が、何か返事をしようとしたが

私の口から出た言葉の方が、少しだけ早かった。

 

「ごめんね。私たちは海を楽しみに来たの。」

 

そう言って、海辺を歩く私たちの姿は、

まるでランウェイを歩くモデルのように堂々としていた。

 

ビキニを着ることに葛藤していたあの頃とは全く違う、

自信に満ち溢れた表情で。

 

「かっこいい。」

「ね!かっこよかったよ!」

「違う。そっちじゃない!」

 

キャハハハ