popoのブログ

超短編(ショートショート)

青春七五三

13歳の健太、15歳の裕太、17歳の翔太。

三兄弟は今日も元気に過ごしていた。

 

しかし、今日は少しいつもと違う。

両親が仕事で夜遅くまで帰らないというのだ。

 

夕日が沈み始め、辺りが薄暗くなってきた頃、

翔太は台所に立っていた。

夕食の準備をするのは初めてだった。

少し緊張しながらも、冷蔵庫にある食材を眺め、

昔、母と作った料理をうる覚えで作り始める。

 

「裕太!手伝って!」

 

リビングのソファでゲームに夢中になっていた裕太は、

「はーい」とキッチンにやってきて野菜を洗う。

その様子に健太もキッチンへとやって来た。

「ぼくは?」「そうだなぁ。これを混ぜて」と、肉をこねる。

三兄弟は、それぞれ役割分担をしながら、

協力して夕食を作っていった。

 

台所は、三人の楽しそうな会話が響き渡る。

幼い頃の思い出話や、学校での出来事など、

ゲームの話や、普段はなかなか話せない話題も飛び出す。

 

やがて、食卓には、三人で作ったハンバーグや、サラダが並んだ。

三兄弟は、力を合わせて作った夕食を、笑顔いっぱいで味わう。

 

食事を終えると、三人はリビングに集まって、

テレビを見たり、ゲームをしたりした。

いつもよりずっと長い時間を一緒に過ごした。

 

「ただいま。」

夜が更け、両親が帰ってきた。

三兄弟は、今日のことを嬉しそうに話した。

「あのね・・・あのね・・・」

「うまくできたよ。」

「おいしかった。」

両親は、洗い物も終えたキッチンを見て、

三兄弟の成長を感じた。

 

「今日はケーキ買ってきたぞ!」

父からのご褒美に再びテンションが上がる。

 

この夜、三兄弟は大切な思い出を作った。

それは、家族の温かさや、兄弟の絆を

改めて実感できる、かけがえのない時間だった。

 

「おにいちゃん!また作ろうね。」

暗くなった部屋に健太の言葉が響き渡り

三兄弟は久しぶりに川の字で眠りについた。