popoのブログ

超短編(ショートショート)

氷の仙人

とあるところに、かき氷が大好きなおじいちゃんがいました。

そのおじいちゃんは、ただのかき氷好きではなく、

かき氷を作ることに人生を捧げた人物だったのです。

 

ある暑い夏の日、

おじいちゃんはいつものように、

涼を求めて山奥の小屋を訪れました。

しかし、小屋の中には誰もいませんでした。

代わりに、一通の手紙が置いてありました。

 

手紙には、このように書かれていた。

「大切な宝物があるから、ぜひこの場所に来てほしい」

 

おじいちゃんは、手紙の文面に心惹かれ、

宝物の場所へと向かいました。

 

宝物の場所は、山奥の洞窟でした。

洞窟の中に入ると、

そこには光り輝く氷の山がありました。

氷の山は、七色の光を放ち、

まるで宝石のように美しいものでした。

 

おじいちゃんは、その氷の山を見て、すぐに悟りました。

これが、手紙に書かれていた宝物なのだと。

 

そして、おじいちゃんは、

その氷山から少しだけ削り、かき氷を作りました。

そして、一口そのかき氷を口に入れると、

今まで味わったことのないような、至福の味に包まれたのです。

 

そのかき氷は、甘酸っぱく、爽やかで、

そして何よりも心が温まるような味でした。

おじいちゃんは、このかき氷こそが、

人生で最高の宝物だと確信しました。

 

おじいちゃんは、その氷山から削った氷を使って、

世界中の人々に幸せを届けたいと思いました。

そして、その場所にかき氷屋さんを開いたのです。

おじいちゃんの作ったかき氷は、

一つ一つに物語が込められていました。

悲しいことがあった人には、

心を癒すような優しい味のかき氷を。

嬉しいことがあった人には、

その喜びを倍増させる弾けるような味のかき氷を。

 

人々は、おじいちゃんのかき氷を食べることで、

様々な感情を味わうことができました。

 

そしていつしか人々は、おじいちゃんのことを

 "幸せを運ぶ氷の仙人" と呼ぶようになったのです。

 

氷の仙人はこう話す。

 

「どんなに暑くて苦しい日でも、かき氷を食べれば一瞬で涼しくなれる。

人生の苦難も、乗り越えようとする強い意志を持って行動すれば、

一瞬で笑顔の光が差し込むものだ。」と。