popoのブログ

超短編(ショートショート)

恋の味が忘れられなくて

私がよく訪れるカフェがある。

とてもオシャレなオープンカフェだが

都会じゃない分、いつも空いている。

窓際の席。ここが私の特等席。

「ココアお願いします」

「いつもありがとうございます」

おかわり自由なので、いつも長居をしてしまう。

この窓から見える緑いっぱいの景色が好き。

店内に流れる静かなBGM。とても落ち着く。

通い始めて一年が経った頃、

私には彼氏ができた。

「好きなカフェがあるんだ」

「一緒に行こう」

その流れから2人で訪れるようになった。

「おれバナナスムージー

「じゃあ私はイチゴのスムージーにする」

初めてココア以外を注文した。

「美味しいな!おれめちゃ好きかも!」

私はすごく嬉しかった。

私が好きなお店を彼が気に入ってくれる。

特別な幸福感だった。

それからまた一年。

私は大好きだった彼と別れた。

それからというもの自然とこの店から遠のいた。

店員さんに別れたと気付かれるかなあ。

また一人で通う寂しい女だと思われるのかなあ。

いろんな思いと葛藤して、私は店から遠のいた。

それでもやっぱりこの店が好きで

勇気をもって、またこの店を訪れた。

「すみません。」

「はい。おかわりでよかったですか?」

「いや。イチゴのスムージーをお願いします。」

「かしこまりました」

と笑顔で返事が返ってきた。