popoのブログ

超短編(ショートショート)

どうして

わたしは仕事で大きな失敗をした。

落ち込んで、家に帰ると、かばんを置き、妻に何も告げずに家を出た。

わたしは公園のベンチに座り、かなり落ち込んでいた。

しばらくすると「大丈夫。私も一緒よ。」

心配に思った妻がそこにはいた。

わたしはすべてを話した。仕事で失敗したこと、そして自分を責めていたことを話した。

「あなたは、何も悪いことをしていないよ。失敗は、誰にでもあること。大切なのは、そこから学ぶことよ。」

わたしは妻の言葉に励まされました。

「ありがとう。おかげで立ち直れたよ。」

わたしは妻の顔を見た。とても美しい笑顔だった。

笑顔は、人を幸せにする力を持っている。

笑顔は、人を励まし、人を勇気づける。

笑顔は、人を癒し、人を元気づける。

わたしは妻の笑顔が大好きだ。

 

ある日、駅の近くでたまたま妻が男性と笑顔で話しているのを見かけた。

「お前は、おれを愛していないの?」

「え、何を言ってるの。」

「他の男と笑顔で話をしていた。おれを愛していない。」

「あなたを愛していないなんて、そんなわけない。」

「じゃあ、なぜ、他の男と笑顔で話をするんだ。」

「それは…でもただの友達だから。友達と笑顔で話すのは、いけないことなの?」

「そうじゃなくて。そうじゃないけど。」

「あなたは、間違っている。私は、あなたを愛している。」

妻はきっとわたしの言葉にショックを受けたと思う。

でもわたしはそれ以上、妻の顔を見ることができなかった。

お前の笑顔が好きだから。でも好きすぎて。好きすぎて。

笑顔は、人を幸せにする力を持っている。

笑顔は、人を励まし、人を勇気づける。

笑顔は、人を癒し、人を元気づける。はずなのに。

 

これは皮肉な笑顔の話。