popoのブログ

超短編(ショートショート)

最後の日の贈り物

静かに年が明ける準備が整う頃、

街は煌めくイルミネーションに包まれていた。

 

晦日の夜、私はいつものように窓辺に佇み、

街の景色を眺めていた。

一年が駆け足のように過ぎ去り、残すところあとわずか。

 

今年一年を振り返ると、喜びもあれば悲しみもあった。

仕事で大きなプロジェクトを成功させたり、

大切な人と出会ったり、新しい趣味を見つけたり。

一方で、予想外の出来事に振り回されたり、大切な人を失ったり、

目標を達成できなかったり。様々な出来事が、私の人生を彩ってきた。

 

窓の外では、カウントダウンの鐘の音を待つ人々の賑やかな声が聞こえてくる。

私は、今年一年で出会った人々、そして私を支えてくれた人々へ感謝の気持ちでいっぱいになった。

 

ふと、幼い頃の記憶が蘇ってきた。

晦日の夜、家族みんなで集まって年越しそばを食べるのが恒例だった。

その時に父が教えてくれた言葉がある。

「一年で一番最後の日は、新しい年の始まりなんだよ。だから、今日一日は感謝の気持ちで過ごそう。」

 

父の言葉を胸に、私は今年の最後の日に何ができるだろうかと考えた。

何か特別なことをするのではなく、ただ感謝の気持ちを持って一日を過ごしたいと思った。

 

まず、お世話になった両親に電話をかけて、感謝の気持ちを伝えた。

次に、いつも相談に乗ってもらっている友人たちにメッセージを送った。

そして、一年間共に過ごした同僚たちにも感謝の気持ちを伝えた。

 

一日を通して、たくさんの人に感謝の気持ちを伝えることができた。

その度に、温かい言葉が返ってきて、私の心は満たされていった。

 

夜空を見上げると、美しい満月が輝いていた。

私は、この満月が新しい年の始まりを告げているように感じた。

 

今年一年、本当にありがとうございました。

そして、来年もどうぞよろしくお願いします。