今年もまた、年末がやってきた。都会の喧騒から離れ、
実家へ戻る汽車の窓の外には、雪化粧した山々が連なり、
子供の頃の冬景色を思い出させた。
「あ、駅に着いたよ。」
母の優しい声が、私の意識を呼び戻す。
改札を出ると、父親がいつものように大きな笑顔で立っていた。
「ただいまー!今年もみんな揃って賑やかになるな。」
懐かしい家の玄関を開けると、焼きたてのケーキの甘い香りが漂ってきた。
祖母が愛情を込めて作ったケーキは、私にとって最高の帰省の贈り物だ。
リビングには、すでに兄夫婦と小さな甥っ子がいた。
甥っ子は私を見ると、大きな声で「おばちゃん!」と駆け寄ってきて、
ぎゅっと抱きついてくる。その温かさに、私の心も自然とほぐれていく。
夕食は、家族みんなで囲む大きな食卓。
祖母の手料理は、どれもが格別で、会話も弾む。
兄は仕事の話、姉は子供の成長について、そして私は都会での出来事を話す。
それぞれの立場で、それぞれの悩みや喜びを分かち合う。
食後、みんなでリビングに集まり、テレビの前でこたつにくるまって過ごす。
昔のように、家族みんなでゲームをしたり、懐かしい話をしたり。
時間はゆっくりと流れ、いつまでもこの時間が続けばいいのに、そう思った。
夜、布団に横になると、子供の頃のように両親の寝顔を見つめた。
いつまでも若く見える両親だが、確実に歳をとっている。
そんな両親の温もりを感じながら、私は静かに眠りについた。
今回の帰省では、普段なかなか話す機会のない家族とゆっくりと時間を過ごすことができ、本当に良かった。
都会の生活に疲れた心を、故郷の温かい空気と家族の愛情が癒してくれた。
また来年も、こうして実家に帰ってくることができるだろうか。
そう考えながら、私は静かに夜空を見上げた。