popoのブログ

超短編(ショートショート)

トイストーリー

あるところに、カプセルトイが大好きな女の子がいた。

名前はさくら。さくらは、毎日のようにカプセルトイを買い、

集めたおもちゃを自分の部屋に並べて眺めていた。

 

さくらには、重い病気の友達がいた。

名前はこはる。

こはるは、病気で入院していて、家にはなかなか帰ることができなかった。

さくらは、こはるのために、カプセルトイを買ってきては、

病室を訪れ、一緒に開けて、一緒にみて笑った。

「元気になったら遊ぼう。それまで大切に飾っておくから」

 

ある日、さくらはいつものように病室を訪れた。

そしていつものようにカプセルトイを見せる。

「これは私が帰った後に開けて。プレゼント。」

ここに置いておくと怒られるからと、いつも持ち帰るのに珍しいことだった。

それから少し話をして、さくらは病室を後にした。

 

こはるはさくらに渡されたカプセルを見た。

(あれ?なんだか違うなあ?)

こはるは開けてみた。

そこには1枚の紙が細かく折りたたんで入っていた。

 

「いつも一緒のこはるへ。」

こはる。いつもお疲れさま。

こはると出会って、もう3年。早いね。

一緒に公園で遊んだあの日が今では懐かしい。

正直最初に、こはるの病気を聞いたとき、私はくやしかった。

こんなにも仲がいいのに。何でこはるなのって。

私だったらよかったのに。

私には、こはるの気持ちが全てはわからない。

きっと私が思ってるより、怖いんだと思う。

これからどうなるのか。治るのか。治らないのか。

ごめん。私には全てわからない。

でもね。辛い気持ちは私も一緒。

この気持ちは同じだよ。

だから、こはるは一人で辛さを抱えないで。

私は喜びも悲しみも。辛さも楽しさも。

こはると一緒に感じたい。

明日はやっと手術だね!きっとうまくいく。

部屋の外で待ってるから。

明日はとっておきのカプセルだよ!

また一緒に開けようね。