青空に悠々と泳ぐ鯉のぼり。
その鯉のぼりを見上げる小さな息子は5歳になった。
息子は、鯉のぼりが大好き。
風に揺れる姿に、
まるで空を飛んでいるヒーロー
だと感じているようだ。
こどもの日の今日に、
私たちは息子にサプライズを用意した。
それは、嫁と一緒に作った小さな鯉のぼり。
真っ赤な布に、息子が描いた元気な魚の絵をプリントしたもの。
その魚が力強くも感じる。
「この鯉のぼりを空に飛ばそう!」
このプレゼントに息子は目を輝かせた。
そして、一緒に庭へと向かう。
手作りの小さな鯉のぼりは私よりも小さく、
まだ上手に泳げない。
その姿に息子はちょっと悲しげにも見える。
私は一生懸命に風を掴まえようと鯉のぼりを持つ。
「上手に飛べないね。でも、大丈夫!もう少しだから。」
その言葉に息子は力強く頷く。
私と息子がいる庭に嫁がやって来た。
「本当に、小さな鯉のぼりだね。」
「でも、その小さな体で懸命に泳ぐ姿は、
とても美しいはずよ。」
息子は見上げた。
すると、小さな鯉のぼりは力強く泳ぎ始めた。
私が手を離すと鯉のぼりは
自由に風に泳ぐ。
その姿を見上げる息子。
彼はきっと何か希望のようなものを
感じているのだろう。
「あなた。よかったわね。」
「ああ。」
この小さな鯉のぼりが息子にとって
かけがえのない宝物になるのはこれからの話。