小さな雪片が風に舞い、白い世界が広がっている。
まるで、ぼくたちはそこで眠っているようだった。
こどもたちが集まってきた。
ぼくたちを集めて丸める。
最初は小さな丸。次は少し大きな丸。
そして最後はぼくたちを持ち上げる。
こどもたちは何かを話しながら
どこかへ楽しそうに向かっていった。
しばらくしたら戻ってきた。
ひとりのこどもは、数本の木を握りしめている。
ひとりのこどもは、数個の石をもっている。
ひとりのこどもは、バケツを持っている。
そしてそれらを、ぼくたちにくっつける。
「出来た!」
ぼくたちは魂を宿ったようだった。
嬉しい瞬間だ。
こどもたちもまた、嬉しそうだ。
その姿が周りの雪景色と一体化して
美しく見える。
突如強風が吹いた。
ぼくたちはバランスを崩した。
次の瞬間、こどもたちは
ぼくたちに駆け寄り支えてくれた。
そしてホッとした表情を見せてくれる。
嬉しった。美しかった。
居なくなっちゃうその時まで。
ぼくたちは、こどもたちを見守っている。
寂しくなんかない。
居なくなっても、またこどもたちが
ぼくたちを作ってくれる。また会える。
雪だるま。
みんなはぼくたちをそう呼んでいる。