popoのブログ

超短編(ショートショート)

雪の世界

小さな雪片が風に舞い、白い世界が広がっている。

まるで、ぼくたちはそこで眠っているようだった。

 

こどもたちが集まってきた。

ぼくたちを集めて丸める。

最初は小さな丸。次は少し大きな丸。

そして最後はぼくたちを持ち上げる。

 

こどもたちは何かを話しながら

どこかへ楽しそうに向かっていった。

 

しばらくしたら戻ってきた。

ひとりのこどもは、数本の木を握りしめている。

ひとりのこどもは、数個の石をもっている。

ひとりのこどもは、バケツを持っている。

そしてそれらを、ぼくたちにくっつける。

 

「出来た!」

ぼくたちは魂を宿ったようだった。

嬉しい瞬間だ。

こどもたちもまた、嬉しそうだ。

その姿が周りの雪景色と一体化して

美しく見える。

 

突如強風が吹いた。

ぼくたちはバランスを崩した。

次の瞬間、こどもたちは

ぼくたちに駆け寄り支えてくれた。

そしてホッとした表情を見せてくれる。

 

嬉しった。美しかった。

 

居なくなっちゃうその時まで。

ぼくたちは、こどもたちを見守っている。

 

寂しくなんかない。

居なくなっても、またこどもたちが

ぼくたちを作ってくれる。また会える。

 

雪だるま。

みんなはぼくたちをそう呼んでいる。