popoのブログ

超短編(ショートショート)

風のいたずら

大きな公園の芝生を
俺は愛犬ラッシュと駆けていた。
青い空と白い雲がとても清々しい。
何度も芝を行ったり来たり。
しばらくして俺は芝生に横たわる。
大の字とはまさにこのこと。
するとラッシュは上に飛び乗り
ぺろぺろと顔を舐めてくる。
しばらくしてラッシュも体を休める。
時折吹く風が気持ちいい。
ああ。このまま眠ってしまいそう。
その時だった。
「なにしてんの?」
瞑りかけた目を開き上を見る。
「あっ。」
彼女は同級生のリオ。
いつも学校ではお転婆で、クラスの人気者。
目立たない俺は机から、ダンスしたり、楽しそうに笑って話す彼女をふと眺めていた。
彼女の笑顔はなぜか俺の癒しにもなっていた。


わっ!急に強い風が吹く。
リオのスカートが風で靡かれる。
見上げる俺は目を背けることが出来なかった。スカートの中が目に入る。
風が止み気がつくとリオと目が合った。


慌てて起き上がる。
「ねぇ?名前なんていうの?」
「え?あ。かずや。まつだかずや。」
「ハハハ!違うよ。犬!」
「かずやはわかるって。」笑
俺は何だか恥ずかしかった。
(何緊張してんだ!俺は)
「ああ。ラッシュ。」
そう言うと「ラッシュ〜。可愛いねぇ」と抱きしめラッシュを撫でた。
その姿はとても素敵だった。
何だか俺から見るその光景は一枚の写真のようだった。
「はい。これあげる。」
手渡された一輪の花。
「そこに咲いてたの!綺麗でしょ」
ラッシュの頭をぽんぽんと撫で
「じゅあまたね。」
リオは立ち去った。
一瞬の出来事に俺の時間は静止した。


その時また強い風が吹く。
彼女に手渡された一輪の花が、力の抜けていた俺の手から、風で飛ばされた。
あっ…。また少し時間が止まり、
そして俺は少し笑った。
(青春かよ。)何だか照れくさい。