popoのブログ

超短編(ショートショート)

魂の行き場

生と死の間に広がる謎に満ちた領域、それが「魂の行き場」。

人々はこの場所がどこにあるのか、何を意味しているのかを長い間考え続けてきた。

ある日、私もまた、その謎に心を奪われた。

「魂の行き場は、人々が最も大切にした思い出と繋がる場所だ」と祖父は語った。

祖父は愛する妻との幸せな瞬間を思い出し、この場所にいるという。

「おじいちゃん。ここはどんなふうに映っているの?」

「どんな風も何も、おばあちゃんと居た景色そのままさ」

「ここからでは時間の経過もわからない。ただただ幸せな時間と現実ではないという寂しさがどこかにある」と祖父は言う。

私は他にも友人に話を聞きに行った。

「ナオコいる!?」

「あら。どうしたの。ここよ。」

ナオコは大きな木の陰に居た。

ナオコは見上げながら「ここで私はプロポーズされた。私の人生で一番幸せだった瞬間。私はこの場所が大好きなの。」

「ナオコから見てここはどう映っているの」

「きれいな景色よ。そのときのまま。」

「雨が降っている日は?」

「私からは雨は見えないわ。ただ何となく暗い気持ちにはなるけれど。きっとその時が雨なのね。」

「もし、この木がなくなったら?」

「私にもわからないわ。どうなるのかしら。きっと何かは感じるから、気持ちが落ち着かなくなるのかなあ。」

私にとって、祖父の話や友人の話はとても興味深かった。

同時に私は二人の大切な場所を守りたいとも思った。

みんながみんな幸せな場所にいるとは限らない。

後悔の場所。失楽の場所。そういった思い出の場所だってあるはず。

みんなも見つけることもできない。

でも私には見つけられる人もいる。

私は大切な人をなくしても、その人の存在を忘れたくない。

だから私はこの場所を守り続けよう。

「魂の行き場」

物理的な場所ではなく、人々の心に刻まれた思い出や感情と深く結びついた場所。それは過去と未来、生と死をつなぐ大切な存在であり、人生に意味と尊さを与える場所なのかもしれない。