「いつもありがとうございます。」
感謝の意を込め一礼する。
向拝所から鳥居までの僅かな道のりに
様々なことを考える。
仕事。家族。友人。健康。
祀られた絵馬を見つめながら。
周りにある木々を見つめながら。
または砂利道を見つめながら。
ゆっくりとした歩幅で歩く。
そして心の中で「よしっ!」と叫ぶ。
冷たい風が吹く。
その風すら
味方してくれている気がした。
実際は短い道のりだが
何かを想い。何かを感じ。
その道のりは長く感じた。
鳥居をくぐり振り返る。
「ありがとうございました。」
再び一礼をする。
すれ違いにやってきた家族。
両親に手を繋がれた子どもは
やっと歩くことができる年齢だろうか。
「よろしくお願いします。」
一礼する家族の真ん中で
かわいい子どもの声がした。
何だか笑顔になれた。
何だか幸せな気分になった。
それだけで参拝に来てよかった。
そう思えた。