popoのブログ

超短編(ショートショート)

出勤

「おはようございます!」

私が玄関を出ると元気いっぱいの挨拶が聞こえる。

私の出勤時間は隣の子どもの登校時間。

いつもの声が私に今日という日の活力をくれる。

「おはよう。いってくるね。」

私はそう言葉を返して駅までの道を行く。

足早にこっちに来る若いサラリーマン。

今日は青のスーツか。と思いながらすれ違う。

彼はいつもやる気に満ち溢れた表情をしている。

いかにも会社に着くなり、すぐ仕事に取り掛かりそうだ。

しばらく歩くと今度はいつもの若い女性とすれ違う。

彼女は今日も音楽を聴いている。

この近くでアルバイトでもしているのだろう。

今日は何を聴いているのかな。少しリズムをとりながら、笑みを浮かべている。

私は何だかおかしくて笑顔になれた。

駅近くのコンビニには既に多くの人が出入りしている。

どの時間帯よりも、店員さんの処理スピードが素早い。

私は少し関心をする。

店全体の雰囲気が忙しい朝を物語っている。

駅が見えてきたころ、多くの人とすれ違う。

多くの急ぐ様子に時間の流れが速く感じる。

その中にゆっくり歩くいつもの老夫婦。

いつも楽しそうに何か会話を交わしている。

素敵なお二人だな。と私は憧れる。

そして私はスマホをカバンから取り出して改札を抜ける。

「さあ1日が始まるぞ」

私の心は、仕事と向き合う自分へと準備を始める。

混雑するホーム。

また今日も電車は人でいっぱいだろう。

でもその電車を降りれば、私も誰かにいつもの人だと思われるのかな。

私も誰かに活力や笑顔、やる気や希望を与えられるようにしよう。

私にとって、朝の時間は憂鬱な時間じゃなくて

よし!頑張ろう!と私自身に誓う時間。

笑顔とやる気に満ちた自分を、今日も私は整える。