ぼくたちは群れで行動する。
時には数百匹という仲間が集まることもある。
ぼくたちはコミュニケーションが得意だ。
みんなで高い声を出して、周囲の環境を感知する。
みんなで身体の動きや尾ひれを使って表現する。
ひとは、ぼくたちを知能が高いとか適応能力があるとか言うけれど、
みんながそうなわけではない。
ひとだって同じでしょ?
みんなそれぞれなんだ。
ぼくたちは絆を強めるために飛び跳ねたり、クルっと回ったりする。
ぼくの友達は、それを見世物にしているみたいだ。
昔からみんなを喜ばせるのが好きだったから、性に合っているのかもね。
でもそれだって、みんながそうなわけではない。
臆病な友達だっている。
この前は、仲が良かった友達がはぐれてしまった。
集団で行動しているのに。
知能が高いって言われるのに。
だってそう。ぼくたちは、みんながみんな同じじゃない。
はぐれた友達は帰ってくることがない。
どこに行ってしまったのか?寂しくないだろうか?生きているだろうか?
ぼくたちには、その答えがわからない。
時には、体の大きなぼくたちもケガを負う。
シャチやサメに襲われることもある。
どこにだって敵はいるものだ。
時には、網にひっかかってしまうこともある。
ひとの手によって仕掛けられた網に。
決してぼくたちを捕まえようとしたわけではないと思う。
それでも、ぼくたちは仲間を失ってしまう。
誰かを責めるわけじゃない。
ただわかっていてほしい。
ぼくたちも、ぼくたちの世界で生きている。
ぼくたちも、ぼくたちなりの考えがある。
ぼくたちも、ぼくたちなりの想いがある。
もし迷子のぼくたちをみかけたら、そっと見守ってほしい。