popoのブログ

超短編(ショートショート)

ぼくはイルカ

ぼくたちは群れで行動する。

時には数百匹という仲間が集まることもある。

ぼくたちはコミュニケーションが得意だ。

みんなで高い声を出して、周囲の環境を感知する。

みんなで身体の動きや尾ひれを使って表現する。

ひとは、ぼくたちを知能が高いとか適応能力があるとか言うけれど、

みんながそうなわけではない。

ひとだって同じでしょ?

みんなそれぞれなんだ。

ぼくたちは絆を強めるために飛び跳ねたり、クルっと回ったりする。

ぼくの友達は、それを見世物にしているみたいだ。

昔からみんなを喜ばせるのが好きだったから、性に合っているのかもね。

でもそれだって、みんながそうなわけではない。

臆病な友達だっている。

この前は、仲が良かった友達がはぐれてしまった。

集団で行動しているのに。

知能が高いって言われるのに。

だってそう。ぼくたちは、みんながみんな同じじゃない。

はぐれた友達は帰ってくることがない。

どこに行ってしまったのか?寂しくないだろうか?生きているだろうか?

ぼくたちには、その答えがわからない。

時には、体の大きなぼくたちもケガを負う。

シャチやサメに襲われることもある。

どこにだって敵はいるものだ。

時には、網にひっかかってしまうこともある。

ひとの手によって仕掛けられた網に。

決してぼくたちを捕まえようとしたわけではないと思う。

それでも、ぼくたちは仲間を失ってしまう。

誰かを責めるわけじゃない。

ただわかっていてほしい。

ぼくたちも、ぼくたちの世界で生きている。

ぼくたちも、ぼくたちなりの考えがある。

ぼくたちも、ぼくたちなりの想いがある。

もし迷子のぼくたちをみかけたら、そっと見守ってほしい。