私は田舎で育ち、勉強の毎日だった。
それは決して嫌々でなく、勉強することが楽しかった。
大学で私は上京した。
初めて目にする光景がそこにはあった。
上京してからも私は勉強に没頭した。
新しい知識が入ってくることが楽しかった。
そんな私には恋愛など無縁だった。
化粧もまともにしたことがない。
オシャレにも興味がなかった私は、
地味だとよく言われた。
そんな私にある日突然“恋”が訪れた。
好きという感情もよくわからなかったが
とにかく彼のことが気になった。
(連絡来ないかなあ。)
私はいつもスマホを気にするようになった。
会うときは、胸が張り裂けそうな思いで
緊張しっぱなしだった。
「付き合おうか」
全然ロマンチックじゃない言葉だったが
私にとっては最高の言葉だった。
私はそれから初めての経験をたくさんした。
でも私には“初めての恋愛“そのことが大きくて、
“一緒にいる時間”というものだけが嬉しくて、
言いたいことも言えず、どこか臆病だった。
場所、食事、やること、会う時間。
とにかく彼に合わせた。
それからしばらくして、「ごめん」
彼はその言葉だけ残して去っていった。
何が何だかわからず、ただただ孤独だった。
“別れる“という辛さだと実感したのは数日後だった。
でも私には変わったことがある。
それは化粧する楽しみを知った。
オシャレをする楽しみを知った。
出かけることの楽しみを知った。
「終わった恋に負けてなんかいられない」
「だって私にはまだまだ未来がある。」
「いい女になってやるんだから!」
私は今日も笑顔いっぱいで、強い決意と共に
玄関の扉を開ける。