popoのブログ

超短編(ショートショート)

ショコラトル

西アフリカにある小さな村。

ここに夫婦で営む小さな店がある。

看板などはない。

ただみんなはこの店を「ショコラトル」と呼ぶ。

14世紀に成立したアステカ王国での名称だ。

 

赤道から近く、熱帯地域、乾季は乾燥していて暑い

こう思われるこの地域だが、寒い時期もある。

正確には寒い時間帯もある。というところだろうか。

みんなからすると僅かな時間かもしれないが、

エアコンも窓もなく、

風も吹き荒れる寒い部屋を想像してくれ。

結構辛いものである。

その時に、ほっと安らげる場所。

それが「ショコラトル」だ。

 

夫婦が丁寧に淹れるココアは温かくて甘い。

その香りだけで心を打つほど豊かなものだ。

みんなは、笑顔で「ありがとう」そう言って帰っていく。

村のみんなに愛されるココア。

でもその裏には、厳しい現実がある。

 

ひとりの少年はココアを飲み終えこう言った。

「これで明日も働けます!ありがとう!」

そして少年は笑顔で帰っていった。