popoのブログ

超短編(ショートショート)

トイレという同じ場所

「はあぁ。間に合った。」

俺は急いで公衆のトイレに駆け込んだ。

落ち着いたところで周りを見渡す。

(おいおい。ここ掃除してんのかよ。)

小さな虫がしんでいたり、たばこを吸った形跡。

落書きまでしてある。意味不明な電話番号。

おいおい・・・。はあ。早く出たい。

これが俺の思った正直な感想だ。

 

「お邪魔します」

今日俺は友人宅を訪れた。

綺麗な部屋でゲームをしたりくつろいだ。

「トイレ借りていい?」

「ああ。あそこな。」「ありがとう」

扉を開けた瞬間からいい匂いがした。

そして、ふわふわの便座に腰を下ろす。

すうぅ。息を吸い込み、

はあぁ。深く息を吐く。

トイレットペーパーも香り付きかぁ。

落ち着くなあ。これが俺の思った正直な感想だ。

 

「よお!久しぶり!」

俺は後輩と居酒屋で待ち合わせた。

久しぶり会ったからか、話も弾み、酒がすすむ。

1時間ほど経ったころ、俺は席を外す。

そしてトイレに入った。

床はタイルで、白い便器は光っていた。

洗面台で手を洗いながら、鏡を見た。

キレイでオシャレなトイレだなあ。

これが俺の思った正直な感想だ。

 

明日は最近できた彼女とデートだ。

映画を観て、食事して、もしかしたら・・・。

なんて淡い思いを抱く。

そして部屋の掃除にとりかかる。

あ!そうだ。

俺は先日買ったインテリアを持って

トイレに入る。

クリスタルの置物や陶器。

ちょっとしたアートを壁に飾る。

おお!いい感じ。自分自身で納得する。

このトイレに入ってほしいなぁ。

これが俺の今の正直な気持ちだ。