popoのブログ

超短編(ショートショート)

やっちまったぁ

「大丈夫ですか?」「わかりますか?」

俺は病院のベッドで目を覚ます。

(ん?なんだ?どうしたんだ?)

慌てて何が起きているのか現実を理解しようとした。

 

「やめなよ!」という言葉を思い出す。

「いい加減にしろ!」という言葉を思い出す。

 

(あれ?どうしたんだっけ?たしか・・・)

「飲み過ぎちゃったんですか?」

「寒いのに道で寝てたら死んじゃいますよ。」

看護師さんの言葉が身に染みた。

「あ。あ。すみません。」

「俺・・・寝てたんですか?」

「要請があってね。着いたら路上に寝ていましたよ。」

「あ。ほんとすみません。」

(昨日はどうしたんだったかな?)

居酒屋で飲んで。スナックに行って。

それから・・・

あれ?一緒にいた友達は?

ダメだ。思い出せない。

「俺。誰かといました?」

「ひとりでしたよ。」

「あ。そうなんですね。」

「それと・・・これ。」

そう言って看護師さんは俺の上着を取った。

 

(え?なんだ?)

上着にはたくさんの血がついていた。

「何ですか!?これは?」

「知らないですよ!どうしたんですか?」

「俺のスマホは!?」

「ここに・・・」

バッと俺はスマホを手に取り友達に電話をする。

出ない。クソっ。

あと一緒にいたのは・・・。そうだ。と

一緒にいた他の友達に電話をするが、出ない。

(ああ。やっちまったぁ。)

 

「ありがとうございました。すみませんでした。」

「あ!あの・・・」

俺は看護師さんとの話を断ち切って

慌てて病院を後にする。

クソっ。何で出ないんだよ。

俺は、なにしたんだ!?

その後何度も友達に電話をするが出ない。

 

家に帰って、うなだれながら

数時間後、電話が鳴った。

「もしもし!もしもし!」

俺は慌てて電話に出る。

「ごめん。俺!何かやらかしたか!?」

「ああ。」

「なにがあった!?あいつも電話でないんだけど!」

「そりゃあ。まだ寝てるよ。」

「え?」

「お前ひとりで夜中にカラオケ飛び出して

どっか行っちゃうから。」

「え?」

「まあ俺たちは朝方までカラオケに居たから。今起きたわ。」

「あ。そうなんだ・・・。あ!でも上着に。」

「だろうな。臭いだろ。

 俺は情熱に燃えてるとか言って、ワインかぶってたぞ。」

 

恥ずかしさと安堵で

俺は時が止まった。

 

「俺。酒やめるわ。」

「やめなくてもいいけど・・・。ひかえろよ。」