「ほら行くぞ!」
俺は息子を抱えて川へと飛び込む。
バシャン!!
冷たくて気持ちいい。
「パパ!もう一回。」
川の水から顔を出した息子が言う。
「よーし。やるか」
「ほらほら。危ないから気を付けてね。」
岸から、テントに入った妻がこちらを見て言う。
この場所に来るのは毎年恒例の家族行事だ。
照り付ける太陽の日差しと、澄んだ空気。
山に囲まれ、緑に囲まれ、流れる川は冷たく気持ちいい。
年甲斐もなく俺は息子と川で遊ぶ。
「ママ~お腹空いたあ」
妻御手製の弁当がまた美味しい。
くう~!俺はビールを流し込む。
しばらくすると今度は息子の小さなイビキが聞こえる。
「あら。疲れたのね。」
「そうだな。いっぱい遊んだからな。」
「あなたも疲れてない?」
「ああ。俺は大丈夫。それよりも。」
「本当ありがとう。すごく幸せだよ。」
「なによ!あらたまって。」
妻の顔は照れたように微笑んでいる。
俺はこの時間のために頑張っているのかも。
俺はビールを飲み干し、バーベキューチェアにもたれながら口を開く。
「なあ。そろそろ娘も欲しくないか?」
妻の顔は再び赤くなった。