「おばちゃん!これ」
訪れたのはいつもの古びた駄菓子屋。
手には二枚の百円玉と数枚の十円玉。
今日は、いつもよりもリッチだ。
蒲焼さん太郎。チョコバット。ミニコーラ。BIGかつ。
そしてメインはやっぱり、チェリオと書かれた瓶ジュース。
店を出ても、まだそこから離れない。
自転車は目の前に置いたまま、ぼくのパーティーが始まる。
少し汗をかいたぼくは、瓶の栓を抜き、ゴクッと飲む。
次は、チョコバットをあける。ヒットが出た。やったー。心で叫ぶ。
そして残ったお金で、入り口にある、真っ赤なガチャガチャを回す。
よくわからない恐竜の消しゴムが出てきた。
よくわからないものだが、それで充分おもしろい。
そんな時間を過ごしていると、友達が遅れて自転車で到着する。
「公園で、いまからポコペンするんだって」
そう言いながら、店へと入っていく。
ぼくは、BIGかつを食べながら、ジュースを飲み干す。
ここからもうひと仕事。「おばちゃん!これ」
空き瓶で得た10円と残った10円で、厚紙で出来たガムのくじを引く。
買い物を済ませた友達と、内容のない話をしながらパーティーを続ける。
「あー! あたった!」
どうやら友達はヤッターと書かれたラーメンスナックをめくったら『あたり』が出たらしい。
「もらってくる」
そう言うと、駆け足でまた店に入っていった。
あっという間に時間が過ぎる。
「そろそろ行くか?」
そう言いながら、ぼくたちは自転車にまたがった。
「ポコペン中に帰るなよ」
そう言った僕は、喜びと楽しさでいっぱいだった。