沖縄県にある小さな町に住むひとりの少女は、
幼い頃からシーサーが大好きだった。
彼女の家の屋根には、
口を開けたオスと口を閉じたメスの
シーサーが並んでいた。
「くれーやーまむてぃくぃとーるぬやさ」
「ん?家を守ってくれてるの?」
「だからよ」
それから彼女は毎日、登下校の際に
シーサーに挨拶をするのが日課になった。
ある日、彼女は学校から帰ると、
家の屋根のシーサーが壊れていることに気づいた。
「うじいちゃん!たいへんだよ!」
彼女は悲しくて、すぐに祖父に知らせた。
祖父は、シーサーは家族を守ってくれる大切な存在だから、
すぐに新しいシーサーを用意しなければならないと言った。
次の日、彼女と祖父は、町の陶芸家を訪ねた。
陶芸家は、彼女の話を聞いて、
心を込めて新しいシーサーを作ってくれた。
新しいシーサーは、以前のシーサーよりも
大きく、力強かった。
「ありがとう!」
「にふぇーでーびる」
彼女と祖父は喜んだ。
数日後、台風が沖縄に接近した。
台風は猛烈な風と雨をもたらした。
町の木々は倒れかけ、
どこからか、様々なものが風によって飛ばされていた。
「こわいよ~」
「大丈夫だはず。大丈夫。」
祖父のその言葉通り、彼女の家は、被害を免れた。
彼女は、シーサーが家を守ってくれた!と感謝した。
「ありがとう!」
彼女は、その後もシーサーを大切にしながら、
元気に成長していった。
「いってくるね!!」
今日も彼女は元気に挨拶をする。