朝焼けの光がカーテンの隙間からこぼれ、
まだ眠っていた彼女の顔に優しく降り注いだ。
今日という日が訪れたことを告げる光は、
同時に彼女の心に小さな波紋を起こした。
「今日…ついに…」
そう、今日が彼女にとって初めての出勤日だった。
大学卒業後、就職活動に励んできたものの、
なかなかやりたいことが見つからず、
ようやくたどり着いたこの会社。
希望に胸を膨らませながらも、同時に不安が押し寄せてくる。
「本当に自分にできるのかな…」
幼い頃から夢中だった「マンガ」という道。
しかし、厳しい現実を前に、
夢への一歩を踏み出すことができなかった。
そんな時、彼女は偶然テレビで見たアニメに心を奪われた。
30分の時間が過ぎる。
彼女の興奮は冷め止まぬ間に、
次のアニメが始まった。
するとまた、そのアニメに心を奪われた。
その日観た二つのアニメは、
彼女の心に鮮烈な印象を残し、
眠っていた夢を再び呼び覚ました。
「私は…この世界にいきたい…」
その日から、彼女は「アニメ演出家」になることを決意した。
スクールに通い、数々の声優の声を聞き、
数々の音響の機械に触れた。
慣れないデッサンやレイアウト。
そしてようやくこの会社に採用されたのだ。
緊張しながら会社に入ると、
きらびやかな装飾と華やかな雰囲気に圧倒された。
まるで夢の中にいるような感覚だった。
案内された自分のデスクには、
真新しいネームプレートと、
色とりどりの付箋が貼られた資料が置かれていた。
「ここから私の夢が始まる…」
そう思うと、自然と笑顔がこぼれた。
周囲を見渡すと、
同じように初出勤を迎えたであろう新人。
期待と不安を交えた表情をしている。
慌ただしく動く人。デスクで考え込む人。
そこには確実に夢を作り上げる人たちの姿があった。
「私も…みんなと一緒に頑張ろう!」
深呼吸をして、夢への日々が始まる。
あの日、テレビで見たアニメが、
彼女の運命を変えた。
夢への扉を開いたのは、彼女の努力と、そして…
きらめく希望だった。