popoのブログ

超短編(ショートショート)

違った景色

肌寒い3月、

まだ春の訪れを感じるには少し早い季節だった。

そんな季節に私たちは旅行に出かけた。

行き先は、東京。浅草。

 

私たちは、浅草寺をお参りして、

仲見世通りで買い物を楽しんだ。

人混みに紛れながら、ふと目に入った人力車。

俥夫さんの勧誘に誘われるように、

私たちは人力車に乗り込んだ。

 

人力車は、浅草の路地を軽快に駆け抜けていく。

風を切って進む気持ちよさに、思わず笑みがこぼれる。

車窓から見える景色は、歩いている時とは

全く違って見えた。

 

浅草寺の裏手にある、静かな路地。

そこには、趣のある古民家や町工場が並んでいた。

人力車に乗って初めて気付いた景色だった。

 

特に印象的だったのは、

行き交う外国人観光客の姿だった。

着物姿で人力車に乗って、

はしゃぐ私たちを見て、

笑顔で写真を撮っていた。

 

同じ国にいるのに、全く違う景色を見ている。

そのことに、ちょっとした感動を覚えた。

そして私たちは旅の醍醐味を味わった。

 

人力車に乗って、浅草の新たな魅力を発見した。

心は温かい思い出でいっぱいになった。

 

人力車に乗って浅草の町を駆け抜けた時間は、

あっという間に過ぎ去った。

 

旅の終わりには、俥夫さんから

素敵なプレゼントをもらった。

それは、浅草寺のお守りだった。

 

今でも私たちは、そのお守りを大切に持っている。

そしてそのお守りを見る度に、

あの日の思い出や感じたことを思い出す。

 

古き良き文化は、こんな私たちの為にも、

これからもずっとあり続けてほしい。と

心から思う。