popoのブログ

超短編(ショートショート)

ショートショート

私には夢がある

皆さん、「私には夢がある。」 それは、 すべての人が、肌の色や出身、境遇に関係なく、 平等に尊重され、自由に夢を追いかけられる社会です。 それは、 互いを理解し、認め合い、支え合う、温かい心で溢れた世界です。 それは、 誰もが希望を持ち、笑顔で暮…

語らう二人

辺りの木々から滴る雨、 梅雨の気配を感じる夕暮れ時。 温泉旅館の露天風呂に、 サラリーマン風の二人の男たちが腰掛けていた。 「ふぅー、気持ちいいね。」 「そうだね。現実を忘れて、ゆっくりできるな。」 「やっぱり温泉は最高だね。」 二人は、日頃の仕…

come here !

1990年代初頭、 東京郊外の小さな町に住む12歳の少年ヒロは、 ひとりのミュージシャン「マイケル」に夢中だった。 彼のダンス、彼の音楽、彼の全てが大好きだった。 少年は、彼のように歌って踊れるようになりたい。 と毎日練習していた。 ある日、少年はテ…

森の歌姫

私の生まれた場所は深い森の中だった。 木々に囲まれた古いロッジ。家ではいつもママが編み物をしていた。 「ねぇ。ママ。お外で遊ぼう。」「ダメよ。迷子になってしまうから。」 そうやって育った私はいつも窓から緑の木々を見ながら歌を歌っていた。それが…

必死に生きてこそ

荒れ狂う嵐の中、一隻の小さな漁船が 絶望の淵に立たされていた。 老船体は波に翻弄され、 幾度となく転覆寸前まで追い詰められていた。 船上には、嵐に打ちのめされ、 憔悴しきった漁師の老人がただ一人。 かつては村一番の腕利きの漁師だった老人も、 今は…

陽気な仲間

夏の日差しが降り注ぐ土曜日、 陽気な4人の友達がボウリング場へ集まった。 リーダー格の健太は、いつも真っ直ぐな ストライクを狙うストライクハンター。 真面目な性格で、ボウリングも真剣勝負。 お調子者の亮太は、ボールを投げるときは 全力で奇声を発す…

キャンドルの火

薄暗い部屋の片隅に、 古びた木製のテーブルと 背もたれのない椅子。 その上には、使い古された 白いレースクロスと、 一輪挿しに活けられた可憐なバラの花。 そして、その中央に 静かに佇む一本のキャンドル。 柔らかな炎の揺らめきは、 まるで少女の心を映…

見る、創る、学ぶ

30歳になったサラリーマンの彼は、 仕事に追われ、毎日を忙しく過ごしていた。 しかし、ふと立ち止まって 自分の将来を考えるようになった彼は、 今の生活に疑問を感じるようになった。 「このままでいいのだろうか?」 そんなある日、偶然、古いカメラ店で …

本日の試合

1846年、ニュージャージー州エリザベス。 一面の草むらに、まだ見慣れないベースボールの フィールドが設けられていた。 青空の下、選手たちが集まり、 歴史的な瞬間を今まさに迎える。 投手であるヘンリー。 強打者であるエリオット。 「なぁ、ヘンリー。こ…

異国の地で

小さな村に暮らす若者は、幼い頃から冒険心に溢れていた。 周りは豊かな緑に囲まれていたが、 彼は常にその先にある世界に憧れていた。 ある日、彼は偶然、外国の荒れ果てた土地の写真を目にする。 その写真を見た瞬間、何か強い衝動を感じ、 内に秘めた勇気…

緑を取り戻せ!

かつて緑豊かなオアシスだったサマ村は、 今では広大な砂漠に飲み込まれようとしていた。 村長であるアハマド爺さんは、 砂漠化の原因が村はずれの古い遺跡にあると信じていた。 伝説によると、その遺跡には、 かつて砂漠を緑に変えた秘宝が眠っているという…

俺なりの提案

俺は彼女と付き合う時に ひとつだけ提案をしたことがる。 それは・・・ 「お互いの考えから“別れる“という考えはなくそう。」 喧嘩をしても、すれ違っても、“別れる”をなくそうと。 俺は以前にも別の女性と付き合っていた。 正直、毎日が楽しかった。 たくさ…

母と二人で

桜舞い散る春の日、 私は母と二人でいつものように散歩をしていた。 母は私の腕に優しく手を添え、 満面の笑顔で空を見上げていた。 しかし、その目はどこか遠くを見つめているようにも見えた。 母は数年前から病を患っていた。 最初は些細な物忘れから始ま…

小さな親切

小さな村に住む青年。 彼は心優しい青年でしたが、 貧しい暮らしを送っていた。 ある日、彼は道端で倒れているお婆さんを見かけた。 彼はすぐに駆け寄り、お婆さんを助けて家に運んだ。 お婆さんは病気で弱っていたため、彼は数日間介抱する。 「本当に助け…

未来日記

放課後の教室で、掃除当番をしていた私は、 ふと古い机の引き出しの中に奇妙なノートを見つけた。 表紙が古びて破れそうになり、 金色の文字で「未来日記」と書かれていた。 好奇心からページをめくると、 そこには明日起こる出来事が詳細に記されていた。 …

かめはめ波。

青く光る太陽のもと、映るシルエット、 両手を前に突き出し、目をパット見開く。 小さな手のひらから飛び出すのは、 熱い光と希望の塊、「かめはめ波」。 あの頃は、何もかもが輝いて見えた。 公園で友達と競い合い、 本気のかめはめ波で勝負。 時には悪者を…

夢の途中

朝日が部屋に差し込むと、 彼女は目を覚ました。 彼女はそっとベッドから起き、 窓辺に向かった。 街はまだ静かに眠っていた。 遠くに見える高層ビルは、 朝焼けの光に染まって輝いている。 空は薄っすらとピンク色に染まり、 夜明けの始まりを告げていた。 …

淡い恋とロックンロール

夕暮れの校舎に、柔らかな陽射しが差し込む。 ギターを抱えた少女。 彼女は、いつもと変わらず音楽室で練習していた。 彼女の奏でるメロディーは、 エネルギッシュで熱いロックナンバー。 同じクラスの彼は、 どちらかというと大人しい性格で、 ロックよりも…

プロとして生きる

激しい雨の中、少年は倒れていた。 膝から血が流れ、痛みで顔を歪めている。 それでも、彼の目には諦めではなく、 再び立ち上がる決意が燃えていた。 少年の名前はアスカ。 彼は幼い頃からサッカーに夢中だった。 どんなに転んでも、どんなに痛くても、 彼は…

666の誘惑

都心の片隅にある古いアパート。 その一室で暮らす青年は、 退屈な日常に虚しさを感じていた。 そんなある日、彼は古びたノートパソコンを手に入れる。 起動してみると、奇妙なゲームがインストールされていた。 タイトルは「666の誘惑」。 そのゲームは、プ…

小さな寄席

浅草寺仲見世通りは、いつも活気にあふれている。 観光客や地元の人々が行き交い、 老舗の店が軒を連ねる。 そんな仲見世通りの一角に、小さな寄席「楽今亭」があった。 楽今亭は、落語好きが集まる、知る人ぞ知る名店だ。 舞台は簡素で、客席は数十席ほどし…

クヌギの木の下で

緑豊かな山々に囲まれたカブトムシの村。 今年も夏の訪れとともに、 カブトムシたちの活気あふれる季節がやってきた。 村のはずれにある大きなクヌギの木の下には、 カブトムシたちの憩いの場となる広場がある。 力自慢のオスたちが自慢の角比べをしたり、 …

僕はポンコツサラリーマン

サラリーマンの彼は、 仕事の激務からミスが多く目立ち、 いつも慌てふためいてばかり。 付いたあだ名は「ポンコツ」 しかし、彼は誰よりも情に深く、 困っている人を放っておけない性格だと周りは知っていた。 ある日、彼は取引先との重要な商談を控えてい…

裏切りの代償

東京の高層ビル群にそびえ立つ、 日本屈指のIT企業「サイバー・Jr」。 その創業者であり社長である天野は、 類まれなるカリスマ性と営業力で会社を大きくした。 天野には、学生時代からの親友である上田という側近がいた。 上田は、天野の情熱的なアイデアを…

幻の一枚

「誰にも撮れないものを撮る」 彼は険しい山々を舞台に写真を撮ることに情熱を燃やす写真家だった。 彼は、人跡未踏の土地や、誰も見たことがないような景色を写真に収めることに喜びを見出していた。 ある日、彼は、とある山奥に存在するという幻の景色の存…

藻岩山

大学生の頃、私は親友のさとみと札幌旅行に行った。 冬の札幌といえば、雪景色とイルミネーションが美しい。 しかし、私たちはあえて夏の札幌を訪れた。 緑あふれる街並みや、爽やかな風を感じたかったからだ。 旅行の最終日、私たちは藻岩山に登ることにし…

あなたが欲しい。

ネオン煌めく街角、ふと目が合ったのは、 あなた。 漆黒の髪に吸い込まれるような瞳。 淡い微笑みに、私の胸が熱くなる。 言葉も無く惹かれ合い、真夜中の待ち合わせを約束する。 待ち遠しい時間が過ぎる。 鼓動が速まり、心臓が飛び出しそう。 そして、やっ…

コインランドリー

毎週土曜の朝、俺は決まって コインランドリーへ向かっていた。 ちょっと古びた建物はどこか懐かしさを感じさせ、 いつも心地よい静寂に包まれていた。 俺がこのコインランドリーに通い始めたのは、 大学に入り、一人暮らしを始めた頃。 一人分の洗濯物なら…

歌がるた

時は1240年、日本。 緑豊かな山々、澄んだ川、 そして美しい田園風景が広がる京の都。 この平和な町には、歌がるたと呼ばれる 歌集を集めたかるたで遊ぶ人たちが多くいた。 ある日、幼い少女は、町外れにある古い神社を訪れた。 神社の境内には、大きな桜の…

夢を乗せて

太陽がゆっくり沈み始めた午後の駅舎。 母と並んで列車を待つ。 母はどこか懐かしげな表情で、改札口を見つめている。 「ねえ、覚えてる?昔乗った食堂車?」 母の言葉に、幼い頃の記憶が蘇る。 豪華な内装、白いテーブルクロス、 そしてきらきら光る食器。 …