popoのブログ

超短編(ショートショート)

俺なりの提案

俺は彼女と付き合う時に

ひとつだけ提案をしたことがる。

 

それは・・・

 

「お互いの考えから“別れる“という考えはなくそう。」

 

喧嘩をしても、すれ違っても、“別れる”をなくそうと。

 

俺は以前にも別の女性と付き合っていた。

正直、毎日が楽しかった。

たくさん笑う彼女は好奇心旺盛で、

色んな場所に出かけて、色んな思い出を作った。

 

そんな好奇心旺盛な彼女は、

一人で飲みに出かけることも多かった。

 

最初は一人の時間も大事だろう。

最初は一人の時間も必要だろう。

そう思っていた。

 

しかし、それが何度も続き、

たまに連絡取れなくなる時間が

俺には不安で仕方なかった。

 

そしてある日、

「いい加減にしろよ!」

「えっ?なにが?なにがいけないの!?」

「他の男とでも飲んでるんじゃないの?」

「何言ってるの?一人で飲みたいだけじゃん。

それに他の人と飲んだからって何?」

「心配するだろ!?」

「私が一度でも裏切ったことある?」

「そんなのわからないじゃん!」

 

ため息とともに彼女が言った言葉は

「別れよう。」だった。

 

後日、二人で行っていたことのある居酒屋に

たまたま訪れた。

 

「おっ!噂の彼氏君じゃん!」

「えっ?」

「彼女さんが一人で来ては幸せだって。

もう、うるさいくらい、のろけ話してるからな。」ハハハ

「はい。おしぼりです。そうですよ。大切にしてくださいね。」

 

俺は全身が熱くなった。

その日の一人で飲んだ酒の味は、苦かった。

 

何で俺はもっと話し合いをしなかったのだろう。

何で俺はもっと話を聞かなかったのだろう。

何で俺は勝手に怒ってしまったのだろう。

 

そして何より、ひとりで飲む

今の時間は大切な時間に感じた。

 

数年の時が経ち、新しい彼女が出来た。

笑顔が素敵な女性。大好きな彼女だ。

 

俺の考えは正しいかはわからない。

それでも、“別れ”その考えがなければ、

きっともっと話し合うことができる。

 

“別れる”という選択肢がなければ

お互いが納得できることに向けて

話し合うことが出来る。そう思った。

 

だって、今はお互いに大好きだ

という同じ気持ちを抱いている。

 

だから俺たちは、この気持ちを育んでいきたいから。