popoのブログ

超短編(ショートショート)

淡い恋とロックンロール

夕暮れの校舎に、柔らかな陽射しが差し込む。

ギターを抱えた少女。

彼女は、いつもと変わらず音楽室で練習していた。

彼女の奏でるメロディーは、

エネルギッシュで熱いロックナンバー。

 

同じクラスの彼は、

どちらかというと大人しい性格で、

ロックよりも静かな音楽を好んでいた。

そして彼もまた音楽室でヘッドホンをかけながら

クラッシックを聴いていた。

 

ある日、彼女は彼に話しかけた。

 

「あの…私の音楽を聴いてくれないかな?」

 

彼は少し驚いた様子だったが、笑顔で答えた。

 

「うん。いいよ。」

 

それからというもの、

二人は少しずつ距離を縮めていく。

一緒に音楽の話をすることが増え、

お互いのことを知り始めていく。

 

しかし、彼女は自分の音楽の好みを

恥ずかしく思っていた。

 

ある日、彼は彼女に誘われて、

彼女のバンドのライブを見に行った。

ステージで熱狂する少女の姿に、彼は感動した。

 

ライブが終わった後、

「ロックなんてダサいかな?」

「ううん。カッコよかったよ!」

 

二人は互いを語り、

心を通わせていく。

音楽を通して繋がった二人は、

青春の淡い光に包まれていた。

 

しかし、二人は卒業と共に

離れ離れになった。

 

恋人…とはならない関係のまま。

 

それからも彼女はバンドに夢中だった。

彼女の奏でるロックの中には、

彼の好きなメロディーが織り込まれていた。

 

青春の淡い恋とロックンロール。

永遠に響き続ける音楽。

 

「君はロックなんか聴かないって思うけれど、

少しでも近づいて欲しくて、

私はこんな歌で、あんな歌で、

恋を乗り越えてきたんだ。」