40代になった今も、心のどこかで
当時の熱気を懐かしんでいる男女が、
あるきっかけで再び集まる。
華やかな照明の下、懐かしいディスコ音楽が流れ始めると、
彼らの心は若き日にタイムスリップしていく。
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「ねぇ、覚えてる?あの日のディスコ。」
静まりかえったバーで、美奈子はグラスを傾け、慎吾に語りかけた。
慎吾は、わずかに笑みを浮かべ、遠い目をする。
「もちろんさ。あの、ミラーボールが煌めくフロアで、美奈子と踊った夜。」
慎吾の言葉に、美奈子は再びあの日の熱気を思い出した。
若かった彼らは、ディスコで出会った。
派手な照明の下、轟く重低音の中、
互いの体を求め合うように踊り明かした。
それは、人生で最も輝かしい瞬間の一つだった。
それから年月が流れ、二人はそれぞれの道を歩んだ。
結婚、出産、仕事……。
大人になった彼らは、あの頃の熱気を忘れかけていた。
しかし、久しぶりに再会した今、
心の奥底に眠っていたものが呼び覚まされた。
「あの頃に戻りたいな。」
美奈子の言葉に、慎吾は頷いた。
「うん。あの頃に戻りたい。」
二人は、かつてのディスコに行くことにした。
そこは、昔とは少し雰囲気が変わっていたが、
懐かしいディスコ音楽が流れている。
フロアに足を踏み入れると、若者たちの熱気に包まれた。
「わぁ、すごいね!」
美奈子は、まるで少女のように目を輝かせた。
「さあ。いこう。」
ダンスホールに出た慎吾も、
若き日の自分と重なるように、体を揺らした。
懐かしい曲がかかると、二人は自然と手を繋ぎ、
体を寄せ合い、踊り始めた。
昔と同じように、互いの体を求め合うように。
しばらくすると、ふたりの距離を近づけるかのように
当時の音楽が流れ始めた。
「あの頃と同じだね。」
美奈子は、慎吾の耳元でつぶやくと顔を覗き込んだ。
「うん。何も変わってない。」
慎吾は、美奈子の瞳を見つめながら、そう答えた。
一夜の出来事だったけれど、
二人はあの夜の、再び青春を取り戻したような気がした。