popoのブログ

超短編(ショートショート)

魔術の子供

静寂な夜、古びた屋敷の書斎で、

一人の少年が本をめくっていた。

彼の瞳は、ページに書かれた文字よりも、

そこに宿る魔力に強く惹かれていた。

その少年の名は、アラン。

彼は、代々魔術師の家系に生まれ、

幼い頃から魔術の才能を開花させていた。

 

アランが操る魔術は、並外れた力を持っていた。

物体を浮かせたり、炎を操ったり、

時には人の心を操ることもできた。

しかし、その力は、アランにとって重く、

孤独な存在でもあった。

周囲の大人たちは、彼の力を恐れ、近づこうとしなかったのだ。

その為、友達もできず、アランはいつも一人ぼっちだった。

 

ある日、アランは屋敷の外へ飛び出した。

広大な庭で、彼は初めて自分の力を思う存分に使ってみた。

花を咲かせたり、小鳥を呼び寄せたり、

まるで神様になったような気分だった。

しかし、その喜びも束の間、

気が付かない間に、灰になってしまった小屋が目に入る。

 

彼はふと、自分の力がどれほど恐ろしいものか気づかされる。

 

遊び半分で友達の心を操ってしまったら、どうなるだろう?

もし、誰かを傷つけてしまったら、どうすればいいのか?

そんな不安が、アランの心を占めていった。

 

ある夜、アランは屋敷の地下にある秘密の書庫で、

一冊の古びた本を見つけた。

それは、彼の先祖が書き残した魔術の書だった。

そこには、魔術の力の使い方だけでなく、

その危険性についても詳しく書かれていた。

 

アランは自分の力が、

世界を滅ぼす可能性すら秘めていることを知った。

彼は恐怖に打ちひしがれ、自分の存在を呪い始めた。

 

しかし、同時に、アランは決意を新たにした。

自分の力を悪用せず、人々のために役立てたい。

魔術の研究を続け、その力を制御する方法はないのか。

 

長い年月が流れ、アランは立派な魔術師へと成長した。

彼は、自分の力を隠し、影ながら人々を助け続けた。

そして、ある日、世界を危機から救うために、

自らの命を賭けて戦うことになる。

 

アランの物語は、

魔術という力を持つ少年の葛藤と成長を描いた物語。

彼は、その力ゆえに孤独や苦しみを味わいますが、

同時に、人々を助けたいという強い願いも持っています。

 

彼の物語は、私たちに、力を持つことの責任や、

善と悪の狭間で揺れ動く人間の心を教えてくれるでしょう。