popoのブログ

超短編(ショートショート)

…と自分に問う

オレは私立高校に通っていた。

思春期だったオレはかっこよくありたいと思った。

モテたいと思った。人気者でありたいと思った。

当時ちょっとませた女子は可愛くい見えた。

制服のスカートを短くしている女子。髪を少し染めている女子

ほんのり化粧している女子。

そんな女子の気を引くためにはオレは少し悪ぶる必要があると思った。

髪の毛を校則以上に伸ばしてみる。髪の毛を少し茶色くしてみる。

制服をあえてだらしなく着て見せる。かばんを必要以上につぶしてみる。

可愛い子が目の前を通ると無駄に声を大きくして話をしたり笑ったり。

時には電話のフリをして気を引こうと試みる。

時にはクールに何度も目につくところを通る。

時には学校をサボってみる。そして街中を歩いてみる。変にすかして堂々と。

なるべく人目につくところを歩く。サボっている悪い自分がかっこいいなんて思い始める。

真面目にやっていたクラブ活動も高校入って一年足らずでやめてしまう。

部活は帰宅部が当然だと。だって不真面目な奴がかっこいいのだから。

先生にはどうでもいいことでもいちいち反抗をする。だって不真面目な奴がかっこいいのだから。

そしてまた学校帰りには制服のまま街に出かける。

ブランド品は必需品。お金をたかるか盗むのか。

手に入れるため行動する。そして手に入れ見せびらかすように街を歩く。

当然持ってますと何気ないような顔をして。

そして次第に似た者に近付き似た者が集まる。

そして今。大人になって残ったのは後悔だ。

たくさん遊んでたくさん楽しんだはずなのに。心に残ったのは後悔だ。

幼い頃から続けていた陸上。たくさんの汗をかいて涙を流したたくさんの時間。

全国区の男になってやると母に誓った小学六年生。

無我夢中で練習した中学3年間。

そしてすべてを失った高校生活。

あと少しのところで大会で負けてあれほど涙を流したのに。あれほど悔しいと感じたのに。

必ずリベンジしてやると強く心に誓ったのに。

オレの意思は弱かった。

本当の意味で一生懸命生きていた昔のオレは

遊んでいるオレではなく陸上に打ち込むオレだった。

二度と戻れない時間。今でもずっと思い返す過去。

今のオレはどうなんだ?

決して過去には戻れない。と後悔したオレが問う