popoのブログ

超短編(ショートショート)

来んさいや。

日本海の荒波と豊かな自然に恵まれた町。

そんなこの町で冬の風物詩として

愛されているのが、輪島フグ。

 

11月から3月までの魚。

きめ細かい身と上品な甘み。

そしてとろけるような食感。

 

「これぞほんまもんのふくや。」

「冬の寒さに耐えて育ったふくや。」

「脂が乗ってて、身も引き締まっとる。」

「まさに冬の宝石や。」

「どんな料理にしても絶品や。」

「一度食べたら、忘れられん味になる。」

 

フグ刺し、フグ鍋、唐揚げ、ヒレ酒…。

地元の人々にとっても特別な存在。

 

「おなか減ったわー。」

「何食べよか?」

「腹ペコや。」

「鍋にしよか?」

「お父さん、お帰り。」

「あら、来たんかい?」

「お父さんが孫に会いたくてと思て連れてきたけ。」

「あらぁ。よーわろて、いちゃけな子やな」

「そくさいにしとったかいね?」

「元気しとるよ。」

「それはよかったけ。」

「今日は魚、がんことれたじ。持ってけぇ。」

「ありがと。」

 

冬の実家は特に落ち着く。

私はこの町が好き。ここの人が好き。

それにお父さんが獲る

輪島フグは私の誇り。

 

暖かい鍋を食べながら

今日も家族団欒の時間を過ごす。

 

「みんなも一度遊びに来んさいや。」