温かくぷにぷにの肌。
「ママはい」
息子のやわらかい手から、料理中のしわのあるわたしの手に、じゃがいもが渡る。
今日も料理を手伝ってくれる息子。
お手伝いしてくれたら10円ずつ息子のお小遣い袋にお金を入れる。
お小遣い袋は肩から掛けられるようになっている。
息子はまだお金の価値をほとんどわからない年頃。
それでもお金は大切だとはわかっているみたいで大事に袋を持ち歩く。
たまには枕元に。たまにはぎゅっと抱いたまま眠る。
袋が重くなると10円が50円へ100円へと変わる。
息子は変わるのが嬉しいみたい。
今日なんてテーブル拭いたり、お片付けしたりで一日で7回も手伝ってくれた。
袋にまた70円分増えたのだ。
「やったあ」と笑顔の息子が愛おしい。
ある日息子にお買い物を頼んだ。はじめてのおつかい。
不安なわたしは少し離れた場所からスーパーに入る息子を見守り出入り口で息子を待つ。
1分が5分にも感じる。10分たてば1時間くらいに感じ不安になる。
それでも我慢して出入り口を見ながら隠れて待つ。
(きた!)袋を重たそうに抱えた息子が出てきた。
あとは5分ほどの家路を歩き玄関先でわたしは「ありがとう」と声をかけた。
息子は「おうちのなかまで」と袋を大切に抱え運んでくれた。
その後主人が帰宅して、はじめてのおつかいが上手にできたこと、買ったものを全てしまうところまで一人でできたことを自慢げに話した。
主人は喜びじゃあ100円と息子のお小遣い袋にお金を入れる。
その時だった「あれ?お金がない」咄嗟に息子に目を向ける
「ごめんなさい。」泣きそうな顔でつぶやく。
落としてしまったのか?そう思った時
ふと息子のおもちゃ箱のほうをみるとアメの入った小さな袋が。
わたしと主人は目が合ったがお互い何も言わなかった。
次の日どことなしか息子が元気ないように見えた。
主人も帰ってきて夕食が食べ終わった食卓で、わたしは息子に昨日のことを少しお話ししよう。と言った。すると息子は席を立った。「どこ行くの?」
おもちゃ箱のほうへ行きすぐ戻ってきた。
「ママおめでとう」
息子のやわらかい手から、しわのあるわたしの手に綺麗なハンカチが渡された。
5月14日「今日はママの日なんだって。」