popoのブログ

超短編(ショートショート)

音色

都会の喧騒から離れ、

一人静かに古民家カフェで読書を楽しんでいた。

 

ふと耳に飛び込んできたのは、

澄んだ三味線の音色だった。

目を閉じ、音色に身を委ねると、

心が洗われるような感覚に包まれた。

 

演奏者は、柔和な笑顔を浮かべるおばあちゃんだった。

指先から奏でられる音色は、力強くもあり、

優しさに満ち溢れていた。

それは、まるで私の心の奥底に語りかけてくるようだった。

 

日々の仕事や人間関係に疲れ、心が疲弊していた。

三味線の音色は、そんな私の心にそっと寄り添い、

癒しを与えてくれた。

 

演奏が終わると、私は声をかけた。

 

「素敵な音色でした。心が落ち着きました。」

 

おばあちゃんは微笑みながら答えた。

 

「こんにちわ。ありがとう。

三味線はね、人の心を癒す力があるのよ。

辛い時や悲しい時、この音色を聴いて

少しでも心が軽くなれば、嬉しいわね。」

 

私はおばあちゃんの言葉に深く共感した。

三味線の音色は、私に間違いなく、癒しを与えてくれた。

 

カフェを後にした私は、町の景色が違って見えた。

いつもは雑踏に聞こえる車の音も、

鳥のさえずりも、心地よい音楽のように聞こえた。

 

私は心に決めた。

「私も三味線を習いたい。」

 

三味線の音色は、私の人生を変えた。

心を癒し、生きる力を与えてくれた三味線。

私は、その音色を多くの人に届けたいと思った。

 

数年後の私は、いつものように古民家カフェを訪れた。

でも今は、聞き手じゃなくて演奏者として。

 

現代社会はストレスが多く、多くの人が心の病に悩んでいる。

私は、少しでも自分の演奏を通じて、

三味線の音色が、心の傷を癒すための

明日への希望につながるための、

ほんの少しでもチカラになれたら嬉しい。

 

「おねえさん!

素敵な音色でした。心が落ち着きました。」