私は病んでいた。
やることも失い。信じるものを失い。
何をしていいかもわからず
抜け殻だった。
そんな時に開いたスマホ。
そこにあったひとつのアプリ。
昔から存在は知っていた。
何の気なしに開いてみた。
続きが見たくて登録した。
そこにあったのは
知らない人の会話。
知らない人との会話。
それがどこか新鮮で
気付くと私は呟いていた。
そこにお世辞も遠慮もいらなかった。
好きなことを好きな時に呟いて
共感した知らない人からハートがつく。知らない人からコメントがくる。
そのひとつひとつが
私をまた呟かせた。
朝起きてアプリを開く。
昼になるとアプリを開く。
夜寝る前にアプリを開く。
決まった時間に決まって開く。
私は気になるものを検索する。結果がまた私の好奇心をくすぶった。
私は気になったものを投稿する。反応がまた私の満足感を満たしてくれた。
気付くと私の習慣になっていた。
時間はあっという間に流れていた。
それほど夢中になったのだろう。
ある日、辛い出来事が起きる。
すると時に離れることもある。
すると時に離れたこともある。
でもまたこうして戻ってくる。
それはきっと私の大切な何かを
埋めてくれるものだから。
お願い。なくさないで。
なくならないで。