popoのブログ

超短編(ショートショート)

ここ京都の花街にひとりの舞妓さんがいる。

名前は花音(はなね)。

彼女は、優雅な舞と美しい和服で

人々を楽しませ、心を豊かにする存在。

 

ある日、花音は花街の小さな広場で踊っている最中

一人の女性が悲しそうな表情で座っているのを見つけた。

その女性の名前はさくらという。

花音の優雅な舞に引き込まれながらも、

さくらの心には何かしらの重荷がのしかかっているようだった。

 

花音は舞を終えると、さくらに声をかけた。

「さくらさん、どうしはった?

そんなに悲しそうな顔して。」

さくらは少し驚きながらも、

花音の優しい目に触れると、口を開いた。

毎日の仕事の忙しさ、人間関係のトラブル。

そこにきて母の病気。

「どうすれば笑顔を取り戻せるか分からない」

と打ち明けた。

 

花音は微笑みながら、さくらに耳を傾け、優しく励ました。

「人生には辛い時期もあるけど、花咲くように、

必ずええ時期がやってきます。

さくらちゃんにはその美しい花の名前があるん。

うちとおんなじ。」

そう言って、笑った花音の顔は美しかった。

 

「ちょい踊りまひょ」

花音は、さくらの手を引いて舞を少し教える。

さくらの心は次第に少しずつ軽くなっていった。

舞妓さんとしての花音の存在が、

さくらに元気と希望を与えたのでした。