popoのブログ

超短編(ショートショート)

小さな当選

いつものように鞄の奥を探っていると、

見慣れない紙切れが目に留まった。

よく見ると、それは数ヶ月前に友人に誘われて

一緒に買った宝くじだった。

すっかり忘れていたその宝くじを、何気なく確認してみた。

 

「まさか…」

 

そう呟きながら、宝くじに印刷された数字と、

ネットで発表された当選番号を見比べる。

 

「ぷっ!!」

 

思わず声を出して笑ってしまった。

なんと4等の1,000円が当たっているではないか。

金額は大きくないけれど、

宝くじを買った時のあの高揚感が蘇ってくるようだった。

 

友人と宝くじ売り場を訪れた日のことを思い出す。

様々な夢を語り合いながら、選んだ数字に賭けたあの瞬間。

結果はともかく、あの時の高揚感は忘れられない。

 

今回の小さな当選は、

そんな過去の記憶を鮮やかに呼び起こしてくれた。

宝くじそのものよりも、友人との友情や、

何かに期待する心の温かさを思い出させてくれたような気がする。

 

1,000円という金額は決して大きくないけれど、

私にとっては宝物のようなものだ。

このお金で何をしようか、そんなことを考えながら、

また明日からの日々に小さな希望を抱く。

 

宝くじは、もしかしたら

人生を変えるような大きな幸運を

もたらしてくれるかもしれない。

でも、それ以上に大切なのは、

宝くじを買った時の高揚感や、

友人との絆、そして未来への期待なのかもしれない。

 

そう考えながら、私は窓の外に広がる夕焼け空を見上げた。