ある豪邸の書斎で、有名な小説家が殺害された。
部屋は密室状態。
最後に会ったのは、被害者の親友である鈴木。
発見したのは、家政婦の佐藤。
鈴木も佐藤も動揺しながらも、アリバイを主張する。
明智は現場に駆けつけ、じっくりと部屋を見渡す。
書斎には、大量の本と、机の上には万年筆が転がっていた。
窓は全て閉まっており、外からの侵入の痕跡はない。
「鈴木さん、最後の言葉を聞いたり、何か変わった様子はありましたか?」
鈴木は首を振り、「いつも通り、穏やかな様子でした。」
「佐藤さん。部屋の扉は閉まっていたのですね?」
「はい。内側から鍵がかかっていました。」と、言葉を詰まらせる。
明智は部屋中を観察した。
部屋は、扉を開けると、右手に絵が飾ってあり、
左隅には藁が積んである。
扉の正面にある本棚。そして本棚の隣に不自然にある傘。
この部屋には何かがある。
そう感じた明智。
そして、確信に変わったのは、
扉の左手でメモ帳を見つけた時だった。
明智は、メモ帳を調べるが何も書かれていない。
もう一度お聞かせください。
その時間、お二人はどちらに?
鈴木「近くの公園で散歩していました。」
そう答える鈴木の膝は黒く汚れていた。
佐藤「私はキッチンに居ました。」
そう答える佐藤の服は異常に綺麗だった。
明智は、絵が飾ってある場所に行き、こう答えた。
「どうやって侵入したのかわかりました。」
「この通路がどこに繋がっているのか?」
「いずれにしろ、はっきりするでしょう。犯人が。」
そして数時間後、鈴木は逮捕された。
決め手になったのは、侵入口と、膝の汚れだった。
「明智さん!よく通路を見つけられましたね?」
「なに…ただ俺は、決まった場所で、見上げただけさ。」