popoのブログ

超短編(ショートショート)

ボールを追いかけて

小さな頃から、ボールを追いかけるのが大好きだった少年、ハル。

彼が初めてサッカーボールを握ったのは、

まだ小さな手でボールが隠れてしまうほどだった。

 

ある日、ワールドカップの試合をテレビで見ていたハル。

世界のトッププレイヤーたちが繰り広げる息をのむようなプレーに、

ハルは心を奪われた。

近所の公園で、年上の子供たちと一緒に汗を流し、

泥だらけになりながら、サッカーボールを追いかけた。

 

「いつか、ワールドカップで日本代表として戦いたい!」

 

ハルは、その日からサッカーに打ち込んだ。

幼いハルの夢は、次第に大きくなり、彼の心に深く根付いていった。

中学、高校と進むにつれ、彼の才能は開花し、

高校サッカーの名門校に入学。

厳しい練習の日々を送る中で、

ハルはチームのエースストライカーへと成長していった。

 

大学卒業後、プロサッカー選手としての道を歩み始めたハル。

やがて海外の強豪クラブからオファーがきた。

海外での生活は、想像をはるかに超える厳しさだった。

言葉の壁、異なる文化、そしてレベルの高い選手たちとの競争。

ハルは何度も挫折しそうになった。

しかし、ワールドカップでプレーするという夢を彼は決して諦めなかった

 

彼の心には、幼い頃の夢である「ワールドカップ出場」が常にあったからだ。

 

そして、ついにその日が来た。

ハルはこれまでの人生が走馬灯のように駆け巡った。

数えきれないほどの練習、チームメイトとの絆、

そして何より、サッカーへの熱い情熱。

 

ワールドカップのピッチに立った一人の青年。

彼は試合後のインタビューでこう言った。

 

「子供の頃から夢見ていたワールドカップのピッチに立てたこと、本当に嬉しいです。そして、この感動を皆さんと分かち合えて幸せです。僕の家は貧しく唯一もらった親からのプレゼントはサッカーボールでした。あの日、あの時、贈られたサッカーボールと、テレビで見た興奮が僕の人生を切り開いてくれました。これからも、代表として、世界の頂点を目指して頑張ります」