「あのビスケットには特別な力がるのよ」
あるところに、レオという少年がいました。
彼は亡くなった祖母から聞いたビスケットの話が頭から離れずにいた。
そのビスケットは、月に一度だけ、とある村のパン屋に現れるというのです。
そして、それを手に入れた者は、どんな願いでもけ叶えられると。
レオは、病気の妹、リリーを治すために、
そのビスケットを探していました。
そして、ある満月の夜、レオはついにパン屋で
そのビスケットを見つけます。
しかし、手にした瞬間…
「あっ!!」
誤って落としてしまい、ビスケットは三つに割れてしまいました。
「ああ、なんてことを…」
レオはがっかりして、割れたビスケットを拾い上げました。
すると突然、何か声が聞こえてきました。
「あなたが割ってしまったのは、願いを叶える魔法のビスケット。でも、割れてしまったから、願いを叶える力も三分の一になってしまったわ。」
「このビスケットを、本当に必要としている人に分け与えなさい。そうすれば、分け与えた人、そしてあなたにも、分け与えた数だけ願いが叶うかもしれない。」
レオは戸惑いながらも、その言葉を信じ、旅に出ることにしました。
最初にレオが出会ったのは、足の悪い老人、ジョージでした。
ジョージは、若い頃は有名なダンサーでしたが、
怪我をして踊ることができなくなってしまったのです。
レオはビスケットの一つをジョージに手渡しました。
すると、ジョージの足はたちまち良くなり、
再び踊れるようになったのです。
次にレオが出会ったのは、
貧しいながらも明るく歌う少女、ミアでした。
ミアは、いつか自分の歌で人を幸せにしたいと願っていました。
レオは二つ目のビスケットをミアに手渡しました。
すると、ミアの歌声はさらに美しくなり、聴く人々を魅了したのです。
最後にレオが出会ったのは、孤独な心を持つ青年、アランでした。
アランは、誰にも理解されないと感じ、心を閉ざしていました。
レオは最後のビスケットをアランに手渡しました。
すると、アランの心は温かい光で満たされ、
再び人々との繋がりを感じることができたのです。
三つのビスケットを分け終えた時、
レオの心は満たされていました。
そして、レオは自分の願いを思い出しました。
それは、妹のリリーが元気になること。
すると、奇跡が起こりました。
遠く離れた村で、リリーの病気が治ったという知らせが届いたのです。
レオは喜びで胸がいっぱいになりました。
彼は、ビスケットの魔法は、分け与えることで
さらに大きな力になることを知ったのです。
そして、人々の笑顔こそが、
何よりも素晴らしい願いの叶え方だと気づいたのです。
それ以来、レオは村に戻り、人々のために尽くしました。
そして、割れたビスケットの物語は、
村の伝説として語り継がれることになったのです。