「我慢しなさい」「仕方がないじゃないか」
「わがままを言うな」
私は幼い頃そうやって教育されてきた。
気が付けば私は不平や不満も我慢し耐える私になっていた。
そして言葉にできない、言葉にしない私になっていた。
社会人になり私は同期の親友ができた。
彼女は私と真逆ではっきり言葉にするタイプ。
いつも明るくて何より仕事ができた。
そんなある日、彼女が珍しく仕事でミスをした。
私はサポートに入ったがそのミスはあまりに大きく取り返すまでには至らなかった。
すると上司は私にこう言った。「そんなだからミスするんだ!」
その日の帰り、彼女は私の耳元で「ごめんね。」と言った。
それから数日の間にみんなが私から遠ざかり、
私の居場所はどんどんどんどんなくなっていった。
不確かな事実が知らないうちに作られ
不確かな世界が進んでいった。
ミスは私が犯したもの。
彼女がサポートしたことで最悪の事態にならずに済んだ。
これが作られた現実だった。
怒りとか、憎しみとか、そんなんじゃなくて。
そんなんじゃないの。ただ・・・ただ・・・
それでも言葉にできない私がいる。
誰かに気付いてほしいと願う私はいるけれど
言葉にする私はいない。
ただただ思うばかり。思うばかり。
彼女は今日も笑顔で仕事をしている。
私はもうすぐいなくなる。
この世界にいったいどれほどの真実が見えているのだろう。