「わかるわよ。」「辛かったわね。」「もう大丈夫よ。」
その優しい言葉に私は口を開いた。最初は少し。
「大変だったね。」
その言葉に、また口を開く。
気が付くと、私は全てをさらけ出していた。
私に起きた出来事。
私が何を考え、何を思うか。
私の精神は正常を保っていなかった。
「大丈夫。大丈夫だよ。」
その優しい言葉に私は寄り添った。
話をしていくうちに、落ち着いてきた。
その人は、ただただ「辛かったね。」「大丈夫よ。」と
声をかけ、話を聞いてくれた。
私はそれから何度もその人を訪ねた。
私はそれから何度もその人に話を聞いてもらった。
徐々に私の生活は落ち着いていった。明るくなった。
そんな気がしていた。
「実はね・・・」
ある日、その人は自分の話をした。
その人の話は、驚くことに私の境遇に似ていた。
「だから共感できたのよ。」と。
私は同じような経験をした人がいることに、助けられた気がした。
そして今、その人は克服して目の前にいる。
「あの・・・。私にも未来はありますか?」
その人はかすかに微笑んだ。
「あるわよ。私達と同じ境遇の人が集まる場所があるの。」
「是非、一緒に行きましょう。」
私は人生をやり直したかった。
私は苦しみから逃げ出したかった。
「はい。お願いします。」
その人は再びかすかに微笑んだ。
「参加するのに最初だけ30万円持ってきてね。」
「一回だけだから。」
「ね。大丈夫よ。」