popoのブログ

超短編(ショートショート)

大丈夫よ。

「わかるわよ。」「辛かったわね。」「もう大丈夫よ。」

その優しい言葉に私は口を開いた。最初は少し。

「大変だったね。」

その言葉に、また口を開く。

気が付くと、私は全てをさらけ出していた。

私に起きた出来事。

私が何を考え、何を思うか。

私の精神は正常を保っていなかった。

「大丈夫。大丈夫だよ。」

その優しい言葉に私は寄り添った。

話をしていくうちに、落ち着いてきた。

その人は、ただただ「辛かったね。」「大丈夫よ。」と

声をかけ、話を聞いてくれた。

私はそれから何度もその人を訪ねた。

私はそれから何度もその人に話を聞いてもらった。

徐々に私の生活は落ち着いていった。明るくなった。

そんな気がしていた。

「実はね・・・」

ある日、その人は自分の話をした。

その人の話は、驚くことに私の境遇に似ていた。

「だから共感できたのよ。」と。

私は同じような経験をした人がいることに、助けられた気がした。

そして今、その人は克服して目の前にいる。

「あの・・・。私にも未来はありますか?」

その人はかすかに微笑んだ。

「あるわよ。私達と同じ境遇の人が集まる場所があるの。」

「是非、一緒に行きましょう。」

私は人生をやり直したかった。

私は苦しみから逃げ出したかった。

「はい。お願いします。」

その人は再びかすかに微笑んだ。

「参加するのに最初だけ30万円持ってきてね。」

「一回だけだから。」

「ね。大丈夫よ。」