「バン!バン!」
懐かしい音。そしてこの時期がやってきた。
そう感じさせてくれる音。
涼しい風が吹き始めたこの季節。
学校の校庭から聞こえる音。
スピーカーから聞こえる声。
俺が通っていた頃は、組体操や騎馬戦なんてものがあった。
練習が始まると学校ではずっと運動会の話だった。
誰がリレーに出るか。
誰が上に立つか。
この時期になると新しい友達もできた。
普段は分かれるクラス内も、この時は一丸となるのだ。
運動が苦手な子がいてもみんなでサポートし
みんなが役割を持った。
誰かに指図されるわけでもない。
みんなで考え、みんなで協力した。
そんなことに一日中、夢中だった。
(ああ。懐かしいなあ)
好きな子にかっこいい姿を見せたくて、
失敗した。
親に何か買ってもらいたくて、
失敗した。
それでも、みんなと仲良くなり、
それでも、何かを買ってくれた。
たくさん笑って、たくさん汗を流した。
ケガした自分より、一生懸命な自分が勝った。
間違いなく俺はそこに参加していた。
その経験がみんなとの絆となった。
普段忘れかけている記憶も、
この音と声が呼び覚ます。
そして何かが始まる気がする。
俺は今、清々しい気持ちになる。