秋晴れの休日、私は幼い娘と二人である会場を訪れた。
「一袋500円だよ!」
目の前には数々のお菓子が並ぶ。
娘はまだ小さいが、たまにはお菓子をいっぱい食べさせてあげたい。
「やろっか?」
と言う私の声に、娘は「うん。」とうなずく。
「お嬢ちゃん。はい。これね。」と
一枚の茶色の紙袋が手渡される。
「お母さん、トレイいくから、おなかいっぱい、これにいれてね。」
と言う私の声に、娘は「うん。」とうなずく。
私が数分後に戻ると、膨れた紙袋を大事そうに抱える娘。
「いっぱいいれた?」
娘は「いれたよ。」と答える。
「はい。じゃあ500円ね。」
私は会計を済ませて、「楽しみだね。」と、娘と家へ帰る。
家に戻った私たちは、「じゃあ、好きなの、いっこ食べようか。」
そう言って、紙袋を逆さまに、テーブルに広げた。
「えっ!?」私は驚いた。
広げたお菓子はすべて・・・モナカだった。
「どうしたの!? これ?」
娘は不思議そうに・・・
「もなか。いっぱいって。」
一瞬固まった私は、
次の瞬間、笑い声と共に娘を抱きしめていた。