popoのブログ

超短編(ショートショート)

小倉トーストの味

もう、あなたがいないなんて、

現実のこととは思えません。

毎朝、いつものようにあなたの分も

小倉トーストを焼こうとすると、

あなたの温かい笑顔が目に浮かんでくるんです。

 

あのね、私たちが初めて一緒に食べた

小倉トーストの喫茶店、覚えていますか?

あなたが「俺もそれにするよ」って笑ったあの日、

私の心は、小倉トーストみたいに、

甘くてとろけるような気持ちになったんです。

 

今日は、その喫茶店に来ました。

窓際の席。昔、私たちがよく座った席でしたね。

メニューを開くと、一番上に

小倉トースト』の文字が目に入りました。

思わず微笑んでしまいました。

 

あの日の小倉トーストの味は、今でも私の心の中に、

一番美味しい思い出として残っています。

あの日と同じように、トーストにたっぷり

あんこを塗って、あなたと分かち合いたい。

 

小倉トーストの甘く香ばしい味は、

今では、どこかあなたの味がするような気がして。

 

もう二度とあなたの温かい手で、

私の手を包むことはないけれど、

この小倉トーストを通して、

ずっと一緒にいるような気がしています。

 

天国でも、美味しい小倉トースト

たくさん食べられるといいね。

そしていつか、あなたが食べている小倉トースト

一緒に食べたいな。

 

永遠にあなたのことを愛していますよ。

 

あなたの妻より