公園で遊んだ帰り道。
ミャー。ミャー。となく細い声。
私は一匹の子猫と出会った。
小さな体が、更に小さく見える痩せ細った一匹の猫。
私は慌てて抱きかかえ、一緒に家へと帰った。
私はその猫に、頑張れ!頑張れ!と、生きる希望と勇気を持つように
「チャンス」という名前を付けた。
最初は緊張からか。警戒からか。
なかなか食事も思うように食べてくれない。
懐いてもくれなかった。
それでも私はたくさん名前を呼んだ。
「チャンス」「チャンス」
次第にチャンスはたくさんの食事と、私に懐いてくれた。
私は毎日、急いで学校から帰ってはチャンスと遊んだ。
時にはチャンスと一緒に寝た。
私もチャンスも一緒に成長した。
気付くとチャンスはぶくぶく太って、家の中を走り回っていた。
とても可愛かった。
とても愛おしかった。
ある日、チャンスは息を引き取った。
私はたくさん泣いた。たくさん。たくさん。泣いた。
私は「チャンス」「チャンス」と繰り返し名前を呼んだ。
それでもチャンスは二度と反応することはなかった。
あれから数年、私は今日も元気な日々を送っている。
家族が減って寂しくはなったけど、いつまでも落ち込んではいられない。
そんな姿は、きっとチャンスも望んでないだろうから。
私は、たくさんの癒しと愛をもらった。
私はあの日、出会った日のことを一生忘れることはないだろう。
私はあの日から、一緒に遊んだ日々を忘れることはないだろう。
今でも私はこの言葉が好き。
「チャンス」
それは勇気と希望の合言葉。