私は舞台袖でそっと目を閉じる
育った環境。感じたこと。
今ある環境。感じること。
未来の環境。感じたいこと。
私の性格。私の生活。
現実の私はここに置いて。
舞台にでるのは違う私。
場面で感じることを
私なりの表現で主人公になりすます。
同じ舞台に立つ仲間に伝わるように。
観客に伝わるように。考える。
普段では表現できない
心の奥にある感情を表にだす。
時に叫び。時に大袈裟に。
全てを忘れて集中する。
なりきるんだ。
演じるんだ。
強く決意して目を開ける。
生まれ変わった私は舞台に向かう。
そして私は舞台に立った。
舞台が終わり、戻った楽屋。
疲労感の中、私は思った。
現実も舞台も変わらない。
嫌われないように取り繕って。
怒られないように取り繕って。
好かれようと取り繕って。
本当の私は1人でいる時間だけ。
叫んだり泣いたりふざけたり
やりたいことをできる時間。
それならいっそ
演じるならとことん演じてやる。