いつも優しく思いやりがあり、正義感を持っている私。
意地悪で自分勝手で、ずるい性格の私。
そんな私の心の中で争いが始まる。
「お前は悪いやつ。他人様に迷惑かけて。最低だ!」
「何を言う!善人ぶった偽善者!」「本当は自分さえよければいいんだろう?」
「そんなことはない!困った人がいたら私は助ける。」
「口では何とでもいえるさ」
口論は、いつまでも続いていた。
そのとき、心の中にある小さな声が聞こえた。
「いい加減にしなさい。あなたたちは、どちらもあなたです。
どちらも、あなたが大切にしている部分です。どちらも、あなた自身です。」
その声を聞いて、ハッと目が覚める感覚がした。
「このままではいけない。」「お互い罵り合っていてはだめだ。」
小さな声は続けてこう言う。
「まずはお互いを受け入れなさい。」
その時から二人の私は認め合うことにした。
時には「その気持ちはわかるけど、もう少し考えてみよう」
時には「彼の立場を考えてみよう」「彼女の優しさを考えてみよう」
時には「今は思い切ってやってみよう」「一度、落ち着こう」
そう考える時間が二人の私の間に生まれた。
すると私の世界は広がった。
今まで見えていなかった世界が現れた。
「どちらも押し付けてはいけません。でもお互いに言い分はあるでしょう。
だから互いを認め合うことから始めなさい。
お人好しであることも、自分勝手であることも、決して悪いことではありません。
ただ他人に押し付けていては自分の住む世界を狭めてしまうだけです。
そんなの一番もったいないですよ。」
その小さな声は何だったのだろう?
もしかしたら自分が気付いていないだけで
まだ他にも知らない私がいるのかもしれない。
でも今は・・・
今までにないくらい穏やかだ。