popoのブログ

超短編(ショートショート)

タッチ

俺はいつものように自宅のマンションを出る。

エレベーターを降りエントランスに向かう。

すると、入り口にランドセルを背負った女の子がいた。

小学校1年生か。2年生か。

「おはようございます。」

そう俺は声をかけた。

女の子は照れた様子で下を向く。

女の子とは目が合わない。

どこか照れた様子だった。

可愛らしいなあ。

そう思いながら女の子の横を通る。

その時、女の子は片手をすーっと上げた。

手を広げて、タッチの合図。

俺も咄嗟に手を上げて、女の子の手にタッチした。

その時も目は合わなかった。

それでも俺は少し笑顔になり、横を通り過ぎた。

4歩、5歩進んで振り返る。

すると女の子は、何やら鼻歌を歌っていた。

すると女の子は、少し跳ねていた。

かすかに聞こえる声。

かすかに揺らす体。

俺は再び笑顔になり、その場を後にした。

しばらくして俺は自分の手を見る。

さっきの柔らかく小さな手の感覚を感じていた。

俺はグッと手を握りしめた。

彼女なりの挨拶と表現が、俺に朝の元気をくれたことを実感した。

今日は何だか頑張れそうだ!