「ずっと忘れない 離れてもくじけない
生きていく 今日から」
街を歩いていると、どこからか聞こえてきた。
あれは今から25年位前だっただろうか。
当時、高校生だった俺は青春真っただ中だった。
彼女に会うため、駅に行く。
駅に着くと、小刻みに震えながら
手袋をした手に、ふうっと息を吹きかけた彼女がいた。
「おそいよ~」「ごめんごめん」
次の瞬間、彼女の手が俺の腕を抱える。
「なにたべよっか?」
そう言う彼女の笑顔が愛おしかった。
食事をすると「カラオケ行こっ!?」と言う。
2時間ほどバカみたいに、はしゃいで歌う。
たまにチュッ。としてくる彼女が愛おしかった。
だが、そんな青春も卒業と共に終わりを迎えた。
今でもこの歌を聞くと思い出す。
彼女の温もり。彼女の笑顔。
一緒に乗った夜行バス。一緒に見たイルミネーション。
お揃いで買ったマフラーはどこへいったんだろう。
そんなことをふと考える。
この季節はなんだか苦手だ。
そう思いながら、俺は立ち止まって聴いていた。
そして、少し先に
同じように立ち止まっている彼女がいた。